化合物和名:イサタンB (Isatan B)
骨 格 名:インドール
生合成経路:アミノ酸

 欧州で伝統的に藍染めに利用されてきたアブラナ科ホソバタイセイ(Isatis tinctoria)に含まれるインドール配糖体。本物質は無色であるが、発酵によって本物質が加水分解されて生成するインドキシル(Indoxyl)が空気酸化され、ロイコインディゴ(Leucoindigo)という二量体を生成する。ロイコインディゴも無色であるが、空気酸化を受けると藍色染料となるインディゴ(Indigo)を生成して繊維に沈着する。しかし、インディゴの多くは繊維に沈着せずに沈殿してしまうので、濃紺の藍染めをするには、沈殿したインディゴ泥藍泥らんでいという)を石灰で処理し、微生物による還元発酵でロイコインディゴに再変換する必要がある。このプロセスを繰り返すほど濃い染色が可能となる。この過程で生成する副産物が赤色色素インディルビン(Indirubin)であり、藍染めにおいては染色の色目を変質させる厄介な物質であるが、抗腫瘍活性が認められ医薬品への応用研究が進められている。

isatan_B