医薬品を収容する容器として、局方では密閉容器、気密容器、密封容器、遮光容器が通則において規定されている。密閉容器はごみ、挨などの固形物が侵入せず、内容物が損失しないもので、紙袋、箱などである.気密容器は固体、液体、水分の流通がないもので缶、ガラス瓶、プラスチック容器などである.密封容器はアンプルなど外気の流通も避けるような容器である。生薬の保存には通常密閉容器で十分であるが、アへン末、アロエ末、アラビアゴム末、ホミカエキス、ロートエキスなどのように吸湿しやすい生薬、センキュウ末のように虫害を受けやすい生薬、ケイヒ末、チョウジ末などのように精油を含む生薬の粉末は気密容器が使われ、これらが本条の「別に規定するもの」に相当する。通常の医薬品の通則では遮光規定もあるが、生薬総則では特に規定されていない。しかし、なるべく遮光が望ましい。
(参考)
日本薬局方通則第37条
「容器とは、医薬品を入れるもので、栓、ふたなども容器の一部である。容器は内容医薬品に規定された性状及び品質に対して影響を与える物理的、化学的作用を及ぼさない。」
1.
密閉容器(well-closed container)
密閉容器とは、通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形の異物が混入することを防ぎ、内容医薬品の損失を防ぐことができる容器をいう。密閉容器の規定がある場合には、気密容器を用いることができる。(日局通則第38条)
2.
気密容器(tight container)
気密容器とは、通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形又は液状の異物が侵入せず、内容医薬品の損失、風解、潮解又は蒸発を防ぐことができる容器をいう。気密容器の規定がある場合には、密封容器を用いることができる。(日局通則第39条)
3.
密封容器(hermetic
container)
密封容器とは、通常の取扱い、運搬又は保存状態において、気体の侵入しない容器をいう。(日局通則第40条)
4.
遮光について
遮光とは、通常の取扱い、運搬又は保存状態において、内容医薬品に規定された性状及び品質に対して影響を与える光の透過を防ぎ、内容医薬品を光の影響から保護することができることをいう。(日局通則第41条)(かつては遮光容器の規定があったが、遮光の定義を通常の容器に適用することで置き換えられた)
生薬総則に規定された生薬の中で、吸湿性があるか揮発性成分を含む粉末生薬(アラビアゴム末、アロエ末、ウイキョウ末、カノコソウ末、ケイヒ末、コウブシ末、コウボク末、サンショウ末、シュクシャ末、ショウキョウ末、センキュウ末、ソウジュツ末、チョウジ末、トウキ末、トウニン末、トラガント末、ビャクジュツ末、ボタンピ末)及び特に虫害を受けやすい生薬など(カンテン末、チョレイ末、ニンジン末、ヨクイニン末)は気密容器に保存することが各条に規定されている。一般に精油類、油脂、チンキ、流エキス、エキス、シロップ、散剤は気密容器に保存することが規定されている。これら以外は総則第10条にしたがって密閉容器に保存する。