ミツガシワ(ミツガシワ科)
Menyanthes trifoliata (Menyanthaceae)

mitsugashiwa

→戻る(2004.4.16;帝京大学薬用植物園)

【解説】 北海道や本州の高冷地の湿地に生える多年草。氷河期の遺存種で現在は北半球の寒冷地に広く分布する。葉は3出複葉(種小名の“trifoliata”はこれを表す)で、長い葉柄があって根茎から出て、小葉はほとんど無柄の卵状楕円形〜菱状楕円形、先は鈍く尖り、縁にわずかに鋸歯がある。花期は4~8月、白い花を総状花序に多数つける。花は径1~1.5cmほどで白色~淡紫色、花冠は大きく5裂して内側に白色の毛が密生する(→花の拡大画像。長い雌しべと短い雄しべをもつ長花柱花と、その逆の短花柱花の両タイプがあり、結実するのは前者だけである。熟すると蒴果さくかを形成する。ミツガシワ科はリンドウ科と近縁で、成分として苦味くみ配糖体はいとうたい(セコイリドイド)を多く含み、民間で乾燥葉を睡菜葉スイサイヨウと称して苦味健胃薬とする。1属1種、属名は「水生植物」の意である古代ギリシャ語の“μηνύανθος” (mēnúanthos)に由来し、「開示する」という意の“μηνύω” (mēnúō)と「花」の意の“ἄνθος (ánthos)からなる複合語で、花序に次々と花をつける状を表す。「三日月」の意の“μήνη” (mḗnē)とする説もあるが字義の一貫性を欠く。