タイワンツナソ(アオイ科)
Corchorus olitorius (Malvaceae)

shimatsunaso

→戻る(2004.9.16;帝京大学薬用植物園)

【解説】 中東原産といわれる一年草で、茎は直立して分枝が著しい。葉は長さ6~10cm、幅は2~4cmで互生し、縁に鋸歯があり、先は鋭形で長い葉柄がある。花期は夏で、花は葉の付け根と反対側に単生あるいは二回集散花序をつける。短い花柄の先に、黄色の花弁と黄緑色で縁が褐色を帯びた萼片が5枚ずつと10個の雄しべからなる花を咲かせる。果実は長さ2〜8cmの細長い円筒形の莢果きょうかで、裂開して黒いゴマ粒のような稜のある種子を排出する。ツナソ(Corchorus capsularis)と同様、繊維を採取するため熱帯、亜熱帯で栽培される。葉をmulūkhīyaモロヘイアと称し、健康野菜として食するが、種子には強心配糖体が含まれ有毒である(→関連ページ)。しばしばシマツナソCorchorus aestuansと混同されるが、同種の原産地は不明で汎熱帯的に分布する。ツナソはロープを作る繊維の原料になるので、和名はそれを表した綱麻つなそに由来する。属名は、黄麻ジュートとも野生アスパラガスともいわれ基原は不詳であるが、古代ギリシア語の“κόρχορος” (korkhoros)または“κόρκορος” (korkoros)に由来するという。『薬物誌』に“ANAGALLIS, KORKOROS”とあって、korkorosの名が見えるが、附図はルリハコベ(Anagalis)属の特徴をよく表しているので、まったく無関係のようである。種小名はラテン語の“olitōrius”で「野菜として利用する」という意で、英語では、ごく稀にしか使われないが、“olitory”という語彙がある。