ハヤトウリ(ウリ科)
Sicyos edulis (Cucurbitaceae)

新大陸のメソアメリカ原産といわれるつる性草本で、温帯では宿根性の一年草だが熱帯では多年草である。茎は明瞭な稜と溝がある。葉柄は細くて長く無毛。葉身は心形状で基部は耳形に張り出し、縁は大きく波うって膜質、葉の裏面に短毛があり、表側はわずかにざらつく。雌雄異株、雄花は雌花と同じ所から長い花序枝を出し複数の花をつける。果実は淡緑色、洋ナシ形で縦に大きな溝とシワがあり、大きな種子が1個含まれる。果実は風味がキュウリに似て食用になり、漬物、酢の物、サラダのほか、煮物や炒め物など幅広く利用できる食材である。日本に伝来したのは大正時代になってからである。和名は初めて渡来したのが鹿児島であったことから“薩摩隼人”に因んでつけられたという。西インド諸島ではChayoteチャヨテと呼ばれたので、わが国でも訛って「チャーテ」と称する地域もある。インドネシアではLabu siamまたはLabu jepangと呼ぶが、それぞれシャムカボチャ、日本カボチャという意。ジャワではオランダ人がシャムから輸入していたたためLabu siam、フローレス島では戦前の日本軍が持ち込んだためLabu jepangと呼ばれるようになったらしい。

hayatouri

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