沖縄を除く日本の全土、世界の北半球の温帯から熱帯域の高山に広く分布する常緑シダの一種。胞子を石松子と称し、散布薬とするほか、丸薬の衣に用いられた。初版から第七版局方に収載された。石松は漢籍(本草拾遺)から借用してわが国で独自に本種に充てた名であり、また石松子は欧州で用いられていたのを導入した。欧州ではホメオパシーで全草を動脈瘤、便秘、慢性呼吸器疾患、発熱などに用い、胃炎や腎機能改善にも効果があるという。シダ植物としては珍しくリコポジンほかリコポジウムアルカロイドと称する一群のアルカロイドを含む。