米国南西部、メキシコ原産の多肉植物でNahuatl語(ウト・アステカ語族の一つ)ではpeyōtl、スペイン語では peyoteと呼ぶ。頂部を輪切りにして乾燥したものはmescal buttonと呼ばれ、原産地の原住民(後述)は宗教儀式などに用いていた。成分としてメスカリン(mescaline)を含み、強い幻覚、麻酔作用がある。ウバタマの英名はmescal cacti(mescalというサボテンの意)といい、メスカリンの語源はその略称mescal(スペイン語:mezcal)に由来する。ところがクサスギカズラ科リュウゼツラン属(Agave spp.)から作られた発酵飲料も同名で呼ばれるのでしばしば混同される。mescal (mezcal)の名はネイティブアメリカンの一部族Mescalero Apacheに由来し、もともとはMescaleroが正名だった。Mescalero Apacheが宗教儀式に使ったため、成分名に転じてmescalineの名がつけられた。一方、リュウゼツラン属(属名からアガベと総称)から作られた発酵飲料を別の部族であるNahuatl族(アステカの部族という)がmexcalliと呼んでいたため、音の似たmescaleroと混同され、ともに略称してmescalと呼ばれるようになった。因みにアガベから作った発酵飲料を蒸留しテキーラを製する職人(杜氏)をmescarerosという。因みに、アガベにはmescalineは含まれず、本来の名はMagueyである。したがってアガベとウバタマに同じmescal(mezcal)の名がついたのは単なる偶然(混同による)であり相互に関係はない。