講演会内容予告

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 この度、奈良県立万葉文化館開館10周年記念として開催される万葉古代学研究所講座の一講師として講演を依頼されましたので、ご紹介いたします。講演題目および内容の概要は以下の通りです。

場所:奈良県立万葉文化館(所在:奈良県高市郡明日香村飛鳥10)
日時:平成23年8月20日(土)14:00~15:30
講演タイトル:万葉植物再考—万葉人の目線で植物を観る—
講演概要:次の項目にてパワーポイントを用いたプレゼンテーション形式で進める予定です。

−万葉植物概観と解析法−
1.万葉植物の概要と特徴
2.万葉植物に二系統の名がある
3.万葉植物の解明・解析手法
−日本の植物文化における万葉植物の影響−
4.ハギの出現頻度が突出して高いのは?
5.万葉集にサクラの歌が意外に少ないのは?
6.神仙の霊草オケラが東歌だけに出るのは?
7.4−6ののまとめ
−多元的解析により別の植物像が見えてくる−
8.万葉のさわらびはゼンマイの類であった
9.雑木ではなかった万葉のひさぎ

 講演は総論と各論に分けて行います。総論では、まず万葉植物について簡単に概説、万葉植物には2系統の名があることを紹介したのち、万葉植物を多元的に解析する必要性および具体的な戦略について説明します。万葉集に詠われた植物は今日にも継承されていますが、当時と今日では植物の置かれた環境に少なからぬ違いがあります。ハギは万葉時代をピークにその存在感は急減します。一方、サクラを詠む歌はウメやハギの3分の1以下しかなく、古代人はサクラをあまり愛好していなかったとすらいう人も少なくありません。しかし、ハギ、サクラが自然界でどういう性格をもった植物であるのかを知れば、なぜそうであったのか理解できるのです。総論のまとめとして後世の日本の植物文化に与えた万葉植物の影響について説明します。各論では「わらび」と「ひさぎ」を取り上げ、3で述べる多元的解析により通説とは異なる結論に到った経緯をお話ししたいと思います。