本トピックのアップロード後、日本薬学会発行の「ファルマシア 」9月号に、”安全のための医薬品バーコード表示”という記事が掲載されていたので、ここに補足したい。この記事で強調されていることは、よく似た名前の医薬品の取り違えを防止するため、バーコードの導入を検討しているというものであった。人間の注意力には限界があり、この種の事故を完全に防止することは困難との認識が背景にあって、関係官庁である厚生労働省が
これを認めていると考えてよい。
2002年4月、医療安全対策検討会議で「医療安全推進総合対策」が取りまとまれ、その中で医薬品の取り違え防止策の一つとしてバーコードチェックの普及がが提言されている。現状では、医薬品を特定するコードには何種類もの体系があり、バーコードの普及にはその標準化を待たねばならないとしている。
既に、米国では医薬品へのバーコード表示に関する最終的な規則が公示されており、その実施は時間の問題のようである。厚生労働省は事故防止のためにバーコード表示を推進しようとしているのであるが、一方で、2003年12月24日の厚生労働大臣の医療事故対策緊急アピールでは、「もの(医薬品・医療機器・情報等)」を軸とした施策」として、具体例として” 医薬品における2次元コード・ICタグ(電子タグ)の利用 ”が
盛り込まれているのは注目に値する。バーコードに比べて2次元コード・電子タグ で扱える情報量は比較にならないので、単なる医薬品の取り違えのみならず、厚生労働省も更に一歩進んだ利用を考えていると思われるからである。現時点では、電子
タグは実用化に至っていないので既存技術であるバーコードの推進でとりあえず事故の防止いうことになったのであろう。厚生労働省も坂村プロジェクトの進行を注視しているのではなかろうか。
(参考)「ファルマシア」vol. 40, No.9, pp.839-843 (2004).