ヤブツバキ(ツバキ科)
Camellia japonica (Theaceae)

本州、四国、九州の沿海地や山地に生える常緑高木。葉は互生し、長卵形で表面は濃緑色で光沢があって厚い。縁には細かい鋸歯がある。花期は2~4月。種子の脂肪油は良質でツバキ油と称し、軟膏基剤やパスタ剤、毛髪油とする。ツバキ油は海石榴油として遣唐使が中国に献上していたことが史書に見える。公園樹、庭木として植栽するが、園芸品種が多い。名は薮椿で、野生種のツバキという意味である。ツバキの名の由来として、葉につやがあるので艶葉木が訛ったとする説と、葉が厚いので厚葉木が訛ったとする説など諸説があるが、俗説の域を出ない。ツバキの焼灰はアルミニウム分を多く含むので古くから媒染剤として用いられてきたことは万葉集に「むらさきは 灰すものそ 海石榴市つばいちの 八十やそちまたに 逢へるや誰」(巻12 3101)と詠まれるムラサキ染めを示唆する歌で知られる。詳しくは続和漢古典植物名精解第2章8-2を参照。

yabutsubaki

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