ミカン科ゴシュユにはエボジアミン(Evodiamine)、ルテカルピン(Rutaecarpine)という特異なインドロキナゾリン型アルカロイドが含まれている。これらはアントラニル酸とトリプタミンを前駆体として次の経路で生合成される。トリプタミンを前駆体とするのでインドールアルカロイドと一般には称されるが、アントラニル酸とのアミド結合がそのまま残り不完全アルカロイドの一種とされる。一方、アジサイ科ジョウザンアジサイに含まれるフェブリフギンもキナゾリン環の部分構造をもち、アントラニル酸に由来する。フェブリフギンはキナゾリンにザクロ成分イソペレチエリンやドクニンジン成分コニインに似た「ピペリジン+C3」のユニットが結合するが、リジン—ポリケチド、ポリケチドアミンのいずれに由来するかは不明である。