化合物和名:アルテミシニン (Artemisinin)
骨 格 名:セスキテルペン
生合成経路:イソプレノイド

 キク科クソニンジン(Artemisia annua)に特有の成分で、カディナン系セスキテルペン(アルテミシニン酸 Artemisinic acid)より派生したものである。熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)により媒介され、薬剤耐性を得たマラリアに対する治療薬として用いられる。屠呦呦によって発見され、当初は青蒿素(青蒿はキク科カワラニンジンのことで正しくは黄花蒿)と命名された。これによって屠は大村智、ウィリアム・C・キャンベルとともに2015年ノーベル医学生理学賞を受賞した。本物質にはカルシウムチャンネルをブロックするなどの注目すべき生物活性が報告され、またパーオキシドラクトンが鉄イオンとの作用で分解して活性酸素を発生することから、鉄イオン濃度の高い癌細胞を標的とする抗癌薬など、新薬のシードとして期待されている。

Artemisinin