化合物和名:l-ニコチン (l-Nicotine)
骨 格 名:ピリジン・ピロリジン
生合成経路:アミノ酸

 ナス科タバコ(Nicotiana tabacum)ほか同属各種に含まれるピリジンアルカロイドの一つ。ナス科Duboisia hopwoodii、キク科Eclipta prostrata、キョウチクトウ科Asclepias syriaca、ベンケイソウ科Sedum acreにも含有される。薬理作用として副交感神経興奮作用を有し、多量に服用すると悪心、流涎、流汗を起こし、また胃腸の運動が以上に亢進される。また心血管系に対しては、始めは血管は収縮、血圧は上昇、心拍数は減少するが、次第に抑制的に作用し、心拍数は増加、血圧は下がる。末梢神経においては、始めは神経筋接合部を興奮させ、痙攣、呼吸興奮、嘔吐を起こすが、後に抑制的に作用し呼吸筋を麻痺させ、死に至る。喫煙を通して体内に摂取され、以上の薬理作用の結果、現在では有害物質とされ、喫煙を控えるよう各国政府が勧告している。

nicotine