いわゆるポリケチド則について
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 酢酸-マロン酸(ポリケチド)経路で生合成される物質群では、ポリケチドがアルドール型縮合により閉環するので還元が起きない限り下図で示したように[C2+酸素]の単位が規則的に並ぶ。特に13CH3-13COOHを投与した生合成実験では、13C-13C単位で標的化合物に取り込まれるため、ラベルされた標的化合物の13C-NMRを測定することにより簡単に確認できる。約1%の天然存在比では13Cが隣り合う確率は10,000分の1なのでスピン-スピン結合は無視できる。一方、13CH3-13COOHが導入されてラベルされた部分は仮に1%の導入率であったとしてもペアで導入されているので13C-13Cのスピン-スピン結合が観測できる。13C-NMRを用いた生合成実験で酢酸-マロン酸経路は飛躍的に理解が深まった。下の図には代表的なポリケチド由来の二次代謝物を挙げ、それぞれが酢酸または脱炭酸後のマロン酸単位(太線の結合で表す)を構造の中に含んでいることを示した。