化合物和名:パクリタキセル (Paclitaxel)
骨 格 名:タキサン系ジテルペン
生合成経路:イソプレノイド

 北米西部の山地原産のイチイ科タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia )ほか同属各種に含まれる極微量ジテルペン化合物。有望な抗癌薬といわれながら、その供給上の問題から市販は大幅に遅れた。ヨーロッパイチイ(T. baccata) の葉から10-desacetylbaccatin IIIが発見され、合成したN-ベンゾイル-β-フェニルアラニン残基を結合させることによって半合成でパクリタキセルが供給できることがわかり、パクリタキセルの市販が可能になったばかりでなく、第2世代のタキサン系抗癌薬ドセタキセル(Docetaxel)も開発された。タキサン系抗癌薬の売上高は抗癌薬の中では上位にある。パクリタキセル、ドセタキセルの商標名はそれぞれタキソール(Taxol)、タキソテール(Taxotere)であり、属名のTaxusに由来するため、一般化学物質名と勘違いしやすい。

paclitaxel