チョウセンアザミ(キク科)
Cynara scolymus (Asteraceae)

chousenazami

→戻る(2004.7.16;帝京大学薬用植物園)

【解説】 地中海沿岸原産で成長すると2mに達する大型の多年草。葉は大きく50〜80cmになり、ややアーチ状で深裂、色はやや銀色を帯びた緑色となる。花期6~9月。食用とするつぼみは径約8~15cmに達し、開花するとアザミに似た大きな頭花を形成し、舌状花はなく紫色の筒状花のみからなる。総苞そうほうは多数の三角形の鱗片からなり外側にそり返る。英名をArtichokeアーティチョークと称し、語源は中世アラビア語のalアル khurshuufカルチュ、あるいはヘブライ語のkhurshafに由来するという。花の付け根のふくらんだ花托を食用とするが、わが国ではあまり一般的ではない。名の由来は、朝鮮から渡来したアザミに似た植物という意味だが、わが国では渡来のものは何でもカラ朝鮮チョウセンの名を冠する傾向があり、必ずしも原産地を意味しない。わが国には江戸時代にオランダから渡来したが、もっぱら観賞用として栽培された。文献上の初見は『草木そうもく弄葩抄ろうはしょう(1735年)で、“あざみ”の条に「〜天竺あざみといふものあり、ともいふ〜」とある。図譜では『梅園ばいえん草木そうもく花譜かふ』夏之部八にきわめて写実性の高い“朝鮮薊”の図が掲載されている。『薬物誌』のSKOLUMOS(附図)に考定され、根をブドウ酒で煮て塗ると腋の下ほか体の悪臭を去り、服用すると臭い尿を出すという。属名は古代ギリシア語で本種の古名である“κυνάρα” (kunára)あるいは“κινάρα” (kinára)に、種小名も古代ギリシア語のアザミを意味する“σκόλυμος” (skolumos)に由来する。
引用文献:References参照。