キバナキセワタ(シソ科)
Phlomis fruticosa (Lamiaceae)

kibanakisewata

→戻る(2010.5.21;兵庫県立淡路景観園芸学校)

【解説】 地中海地方原産の常緑多年草で、茎葉とも全面的に細い短毛で覆われる。セージに似た芳香のある葉は楕円形、縁は波うち全縁で対生する。葉身は灰緑色で裏面は白く、茎の基部に近い葉は短い葉柄があるが、上部では無柄となる。花期5~9月、長さ3cmほどの濃い黄色の筒状の唇形花を20個ほど輪生する。別名エルサレムセージ。名は黄花キセワタで、在来種のキセワタLeonurus macranthusに似て黄色の花を咲かせるので名付けられた。キセワタは「着せ綿」で、菊の花に綿を被せる宮中の「着せ綿」の儀式の菊の姿に似ているからという。属名は古代ギリシア語の「炎」を意味する“φλομίς” (phlomís)に由来し、葉をランプの芯に使ったからというが、むしろ鮮黄色の花序を「炎」に見立てたとする方がわかりやすい。種小名はラテン語で「低木の、低木状の」という意味。属名から『薬物誌』のPHLOMOSを連想しがちであるが、附図はまったく似ていない。
引用文献:References参照。