ムラサキウマゴヤシ(マメ科)
Medicago sativa (Fabaceae)

murasakiumagoyashi

→戻る(2005.7.24;英国王立キュー植物園)

【解説】 欧州、アフリカ北部、西アジアに分布する多年草で、現在は牧草として世界各地で栽培される。茎は直立して4稜があり、無毛または有毛、盛んに分枝する。葉は3出複葉でやや長めの葉柄があり、基部に1対の托葉がある。小葉は長楕円形で上半分にわずかな鋸歯があるほかは全縁で先は鈍頭〜円頭、上面は濃緑色で下面は灰白色。花期は5~7月で、茎の先に総状花序をつけ、蝶形花を5~30個咲かせる。花冠は白色〜淡紫色。豆果はらせん状に巻き、熟すと褐色になる。種子は10~20個、黄色または褐色の卵形で平滑。種子から発芽したもやしを食用とする。成分としてはイソフラボノイドを多く含み、ゲニステイン(Genistein)、クメステロール(Coumestrol)は骨粗鬆症治療薬イプリフラボンのシード物質として知られる。また、発酵した牧草からはジクマロール(Dicoumarol)という特異なクマリン二量体が得られているが、この物質は抗凝血薬ワーファリン(Warfarin)のシードである。『薬物誌』にはMEDICEの名で収載され、塩ダレに混ぜて甘味を抑え気味にして食し、緑色のままに塗ると熱冷ましに利用でき、家畜の飼料にもなるとある。一般にはalfalfaアルファルファといい、アラビア語のal-faṣfaṣaアル ファシュファシャのスペイン語訛りに由来するという。属名は古代ギリシア語の“Μηδική” (Mēdikḗ)に由来し、『薬物誌』にも同名が載る。因みに種小名はラテン語の「栽培されている」の意である。
引用文献:References参照。