ルリジサ(ムラサキ科)
Borago officinalis (Boraginaceae)

rurijisha

→戻る(2005.7.24;英国王立キュー植物園)

【解説】 欧州南部、アフリカ北部原産の1年草で茎および葉には剛毛が密生する。根生葉は長さ8~20cm、幅3~8cmの披針形、卵形または広卵形、葉柄があり、基部は円形~くさび形、先はやや鋭どく尖る。茎葉は互生してかなり小さく無柄となる。葉脈は上下面とも鮮明で中脈から葉の縁に沿って弓形に伸びる。花期4~5月、花はさそり状集散花序を形成して、5枚の三角形の尖った花冠と5枚の線形〜線状披針形の萼をもつ直径18~20mmの花を咲かせ、満開時、花冠はややそり返る。花色は、通例、ライトブルーであるが、しばしば白色の個体も発生する。全草をBoragoボラーゴと称し、胃腸の消化不良、食欲増進、鼻炎などに用いる。『薬物誌』のBOUGLOSSON(附図)に考定され、解熱や膿瘍によいとある。属名はラテン語の「粗毛」あるいは「短い羊毛」を意味する“borra”に由来し、全草に密生する剛毛に所以がある。古代ギリシア語で本種を表す“βούγλωσσον” (boúglōsson)は、「ウシ」を意味する“βοῦς” (boûs)と「舌」を意味する“γλῶσσα” (glôssa)からなる複合語といわれる。すなわち「ウシの舌」という意味であるから、「剛毛が生えてざらつく葉」をもつ種につけられた名であり、“Borago”とは語源学的に直接の関連はなさそうである。種小名はラテン語で「薬用にする」という意。江戸末期の1818年、大槻玄沢・宇田川榛斎の建言により、オランダより取り寄せた薬草60種の中にある“Bernagie”はBoragoすなわち本種であり、確実な資料によるわが国への初渡来の記録である(「洋舶盆種移植の記」)
引用文献:References参照。