セイヨウウツボグサ(シソ科)
Prunella vulgaris subsp. vulgaris (Lamiaceae)

seiyoutsubogusa

→戻る(2005.7.22;オーストリアウイーン市シェーンブルン離宮)

【解説】 欧州全域に野生する匍匐性の多年草。葉は披針形、葉柄は短く対生し、ごくまばらに鋸歯があり、先は鋭形で細かい毛が生える。各葉は3〜7本の葉脈があり、中脈から縁に沿って弓形に伸びる。花期は6〜8月で、茎の先に円筒状の花穂をつけ、その付け根に無柄の小さな葉が対生する。紫色の唇形花を花穂の下から上へと順に開花する。花冠は上下の裂片からなり、上唇は紫色で浅い帽子状、下唇は白色で3裂し、中央の裂片は両脇より大きく上向きである。英語では“self自己-heal治癒”という別名があるように古くから傷の治療に用いられてきた。成長力が旺盛なため欧州ではグラウンドカバーとしてよく用いる。本邦をはじめ東アジアに分布する別亜種ウツボグサsubsp. asiaticaと極めて近縁である。欧州に広く分布するが、意外なことに『薬物誌』に該当する品目はない。属名は、歴史的に本種が治療に使用されたのどの炎症を表すドイツ語の名前“die Bräune”から転訛した“Brunella”に由来するという。種小名はラテン語で“一般大衆”を意味する“vulgus”に、同じくラテン語の形容詞を表す接尾辞“-aris”を付したもので、本種が広く分布してどこにでもあるという意になる。