ハナシュクシャ(ショウガ科)
Hedychium coronarium (Zingiberaceae)

hanashukusha

→戻る(2005.7.24;英国王立キュー植物園)

【解説】 インドからインドシナ半島原産とされ、高さ1~3m に達する直立した多年草。葉は無柄で、長さ20~40cm、幅4.5~8cmの披針形、上面に薄毛があるが下面は無毛、基部は鋭形、先は長い尖鋭形。長さ10~20cm、幅4~8㎝の穂状花序を形成し、瓦をしきつめたような苞葉ほうようから卵形で純白の芳香のある花を2~3個つける。花冠は長さ約8cmの細い筒部と長さ約5cmの開出した裂片からなる。中央の上向の裂片は幅広で中裂し、左右の下向きの裂片は楕円形〜広披針形であり、これらは3枚の内花被が付け根で合着したものである。一方、外花被に相当する3枚は花の付け根にひも状になってつく。花の中央から飛び出す雄しべに見えるものは雄しべと雌しべが1つに合したものである。根茎は精油に富み、痛み止めなどの薬用とするほか、観賞用にも世界各地で栽培する。本邦温帯地方で屋外で栽培すると夏に花をつけるが、冬を越せないので根茎を掘り採って退避する必要がある。耐寒性で路地栽培が可能な同属種にサンナがある。属名は“sweet”を意味する“ηεδψσ” (hedys)と“snow”を意味する“χηιοσ” (chios)を合わせたもの、種小名はラテン語の“coronarius”に由来し、「王冠や花輪に作るに用いる」という意味で、いずれも本種の純白の花をイメージした。