本邦各地の低山に生える多年草で、国外では朝鮮半島、中国に分布する。わが国に産するものは対馬産を除いて三倍体であり、大陸から渡来したものと考えられている。鱗茎を百合と称し、漢方で滋養強壮、鎮咳、去痰、利尿の目的で配合する。局方には第十五改正版以降に収載された。本草綱目は、ユリ属基原生薬を百合・山丹・巻丹に区別した古典本草を批判して巻丹を百合に統合し、赤花のユリを山丹とした。本草綱目にしたがえばオニユリは巻丹に当たるので百合の基原の一つに含められたと思われる。因みに山丹はヒメユリ、イトユリとされる。詳細は歴代日本薬局方収載生薬大事典を参照。