アーモンド(バラ科)
Prunus dulcis (Rosaceae)

アジア西南部原産の落葉小高木。モモとともにモモ亜属(Subgenus Amygdalus)に分類され、内果皮に波形のしわの存在によって他の亜属と区別される。果実は核果で、種子のうち硬い外殻を除いたものが食用になる。戦国時代にわが国に伝わり、アメンドース(ポルトガル語amêndoaの訛り)と呼ばれたが、のちに『本草ほんぞう綱目こうもく』(李時珍)の扁桃ヘントウで表すようになった。種仁が食用になるスイート種(甘扁桃カンペントウ)と食用にならないビッター種(苦扁桃クヘントウ)があるが、学名上は区別しない。ビッター種は青酸配糖体のアミグダリンを多く含むため、味が苦いだけではなく有毒である。初版~第五改正版局方、国民医薬品集は甘扁桃、初版、第三~第四版局方は苦扁桃を収載した。いずれも扁桃油(甘・苦扁桃油と区別することもあるが、品質は変わらない)の原料とし、乳剤・化粧品用基剤などに用いた。苦扁桃は苦扁桃水(杏仁水きょうにんすいに似たもの)を製し、鎮咳薬とした。元代の飲膳いんぜん正要せいよう八擔仁ハタンニン、本草綱目の巴旦杏ハタンキョウは甘扁桃である。

almond

→戻る(花:2013.8.13;京都府立植物園;果実:2022.5.26;日本新薬(株)山科植物資料館)