カイガンタバコ(キョウチクトウ科)
Calotropis gigantea (Apocynaceae)

東南アジア、インド、中国南部に原産する大型の草本ないし低木。茎は柱状で直立して堅く、傷をつけると強心配糖体を含む白い乳液が出る。始めは草本状だが経年とともに木本状を呈し、最大4mほどに成長する。10cm〜20cmに達する倒卵形〜楕円形の葉は十字対生し、先は尖って葉柄はごく短く、基部は心形となる。花は葉柄の間から散形花序状に生じ、萼片は基部で5裂、白く卵形、花冠は広く回転して弁状で裂片は5個、楕円形〜卵形で反り返る。果実は袋果たいか、2個が対となり、内部に多くの種子が含まれて綿毛に包まれ、裂開して風によって遠方へ散布される。茎から得られる繊維は丈夫でロープ、絨毯、魚網、糸を作るのに用いられる。種子の綿状物(クラウンフラワーコットンと呼ばれる)は枕の詰め物に使われる。全草に強心配糖体が含まれるが、伝承的に薬用とされた例は寡聞である。近年、根からカロトロポン(Calotropone)という強心ステロイドとは別系統のプレグナン系ステロイド成分の単離が報告され、慢性骨髄性白血病 K562 およびヒト胃癌 SGC-7901 細胞株に対する阻害効果が注目を集めつつある。英名をcrown flowerというのは19世紀のハワイ王国において王族の象徴とされレイに利用されたことに由来する。和名のカイガンタバコは葉がタバコに似るからだが、必ずしも海岸に多く生えているわけではないので、名前としては適当といい難い。

kaigantabako

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