インドのアッサム地方の原産といわれる常緑低木~小高木。花期5~11月。葉に翼がなく、厚味があって楕円形で先は鈍く尖り、縁にわずかに鋸歯がある。果実は紡錘形で先端に乳頭状の突起があり、酸味が非常に強く芳香があり、料理用の酸味料・賦香料として用いられる。寒さに弱くわが国では栽培は困難とされたが、気候の温暖化によって瀬戸内地方で商業生産が可能になった。漢名にしばしば枸櫞を当てるが、正しくは檸檬であり、伝統的本草には出てこない名である。因みに枸櫞の名は「圖經本草」(蘇頌)に別名の香櫞とともに初見し、正しい基原はシトロン(C. medica)である。詳細は拙著「歴代日本薬局方収載生薬大事典」を参照。