パンヤ(アオイ科)
Ceiba pentandra (Malvaceae)

中南米原産の70m以上にも達する落葉大高木で板状根も発達する。一方、東南アジアにはあまり大きくならない品種が導入されたため、せいぜい20m前後で板状根も小さい。葉は長い葉柄をもつ掌状複葉で、5〜9枚の小葉からなる。楕円形または倒卵形でやや硬い革質の蒴果さくかは枝から下垂し縦に裂開して綿状繊維を裸出し、その中に多数 の種子を含む。完全に裂開すると種子は綿状繊維とともに風に乗って遠くに運ばれる。繊維は軽くて弾力性、耐水性があるが、燃えやすいという欠点がある。にもかかわらず、羽毛の代替としてマットレス、枕、室内装飾品、ぬいぐるみの詰め物、断熱材として重用され、合成素材に取って代わられるまで、救命胴衣などに利用された。同科類縁種のキワタとは同じ掌状複葉をつけるのでよく混同されるが、花が小さくて白く地味なので、花期では容易に区別できる(→つぼみの画像を参照)。“panha”はポルトガル語といわれ、本種から取れる綿状物を指したが、後に植物名に転じた。キワタと本種がもっとも異なるのは建築材・器具材に用いられ、また合板に作られることである。材質は軽質で決して優れているとはいえないが、大高木であることもあって原産地ではかけがえのない建築資材とされた。

panha

→戻る(2012.3.14;フィリピン・パラワン州プエルトプリンセサ市)