バニラ(ラン科)
Vanilla planifolia (Orchidaceae)

中南米の熱帯を原産地とする常緑つる生多年草で15〜30mまで伸びる。通例、樹上に巻きつくが、着生して成長することもある。葉は平らな刃状形で多肉質、光沢がある。花は淡い緑黄色で葉腋から12~20個が総状につき、匂いはごく弱い。花は自然状態では受粉しにくい構造であるため(自然受粉率は1%程度という)、栽培地では受粉を人為的に行う必要がある。果実は長さ15~23cmのさや状で裂開すると小さな種子が裸出する。成熟に約8〜9か月を要する。黄熟したさや状果実を採集し、時間をかけて徐々に醗酵させると含有される配糖体が酵素分解されてバニリン(vanillin)を生成し、黒変したさや上に白色の結晶が析出する。生薬としてのバニラはこの状態のものを指し、チョコレート、アイスクリーム、菓子などの賦香料として用いる。バニリンはいわゆるバニラエッセンスの主成分であり、また構造が簡単で化学合成は容易であるが、天然品には芳香の質の点で及ばない。

vanila

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