葉身の形も植物種の分類において重要な要素である。その際、葉全体、付け根、葉先の形、および葉柄の長さが重要なポイントとなる。葉身が直接茎に結合しているように見えるものや、逆に長い葉柄をもつ場合もあり、その形態は実に多様である。
下の図に葉身の形について示すが、ハート形(心形)やひし形をしたものなど多様である。形態用語は卵形と倒卵形のように言葉として分かりにくいものが多いが、心形のような特徴あるもの(例オニドコロ、タマノカンアオイなど)はわかりやすいものもある。
葉の先っぽの形は普通あまり意識することがないが、形態分類学では重要な要素である。ただ同じ種でも次の図のようにはっきりと割り切れない場合、あるいは同じ個体内でもこの中のいくつかの形が共存することもしばしばある。葉の基部の場合も同様である。
葉先の形態の記述は分類学者の主観が入りやすいことを認識する必要がある。凹頭のように明確な特徴の場合は問題ないが、「先が尖る」ケースでは鋭尖頭、鋭頭など主観に左右されやすい。
心形は葉の全形の記載でも用いるので注意を要する。漸鋭尖形は葉柄がほとんどなく葉の付け根まで葉身が流れている場合をいう。くさび形はもっとも普通の形態で狭いくさび形、広いくさび形などと表現することが多い。
葉の縁が滑らかで全く切れ込みが無い場合を全縁というが、多くの場合鋸の歯のような形(鋸歯という)など何らかの形態をもつのが普通である。
ここでは葉の切れ込み方のことをいうのであるが、浅い切れ込みでは上述の葉の縁の形と区別が微妙となることが多い。草本植物に多く見られる形態的特長である。