本邦各地の山野に普通に生えるつる性多年草。葉は互生し、円心形で先は長く尖り、全縁。花期は7~8月。根茎は苦味があり食用には適さないが、萆薢(萆解とも表記する)と称しリウマチなどに用いる。雌雄異株で、写真は雄株で雄花序は上向きに出る。同属種としてタチドコロ、ヒメドコロ、ヤマノイモがあるが、本種と前2種は類似し、区別は容易ではない。漢字名は鬼野老で、タチドコロやヒメドコロより大きいのでこの名がある。野老とは根茎のひげ根を老人のひげに見立て、海老に対する名称だという。トコロの起源としては諸説があるが、根茎の形から「凝り」に由来するという。海藻テングサの抽出物の固まったトコロテンを古く「ココロブト」と称しのちに「ココロテイ」と訛った経緯から「凝る」に由来するとした方が考えやすいだろう。詳細は和漢古典植物名精解第18章第1節を参照。