エビヅル(ブドウ科)
Vitis ficifolia (Vitaceae)

本州、四国、九州の山野に生える落葉藤本。葉は互生し、3~5浅裂または中裂し、縁にまばらな浅い鋸歯があり、裏面には赤褐色の綿毛が密生する。花期6~8月で、葉と対生して円錐花序を出す。雌雄異株で写真は雌花序である。黒く熟した実はやや酸味があって食べられる。よく似た種にノブドウがあるが、食べられず別属種である。古く「葡萄ゑび染め」と称する色目はブドウ(葡萄)の果実に由来したのであるが、ブドウはまだ渡来していなかったため、果実の色が似る和産のヤマブドウで代用した。すなわち古代ではヤマブドウの果実の色を葡萄ゑび色と呼んでいたが、のちに誤ってエビヅルに名が転じてしまったのである。因みに漢名に関しては、漢籍にいう蘡薁藤エイイクトウがエビヅル、ヤマブドウは紫褐シカツに充てるのが正しい。詳細は和漢古典植物名精解第17章第1節を参照。

ebidzuru

→戻る(花:2004.7.17;実(円内):2004.10.2;相模湖町寸沢嵐)