わが国関東地方以南の暖地の海岸近くに群生する高さ2〜4メートルになる大型常緑多年草。国外では中国南部、東南アジア、インド、地中海沿岸に分布する。葉は広線形で先は細く伸びる。紀州ではサバを本種の葉で包んでなれ鮨を作る。茎頂にヨシに似た花序をつけ、熟すると白色の絮を吹いて風にしたがって広範囲に飛ぶ。花期9~10月。別名をヨシタケというが、ヨシに似て竹のように大型であることに因むが、これが本来の古名である。ヨシを表す漢名の一つに葭があり、葭竹と呼んでいたのを、貝原益軒が葮竹と誤って表記し音読みしたのがダンチクの名の由来となった(「大和本草」諸品図上)。時に暖竹とも表すがいずれも和製漢名である。詳細は拙著「和漢古典植物名精解」第2章「1-3」を参照。