本邦各地の山地に生える落葉高木。大型の葉は有柄で枝先に集まって互生し、倒卵状長楕円形で、全縁、厚くやや堅い。花期は5~6月で枝先に大きな花をつける。樹皮を生薬コウボク(和厚朴)と称し、胸腹部の膨満感、腹痛、咳、気分の鬱滞などを除く目的で半夏厚朴湯などの漢方処方に配合する。和厚朴とは中国産のカラホオノキM. officinalisを基原とするものを唐厚朴と称するのに対する呼称。樹皮成分としてフェニルプロパノイド2量体とアルカロイドが含まれる。万葉の古名は「ほほがしわ」で、「ほほ」はほほむ、すなわち花芽が大きな萼片の包まれた様子に因むのであろう。また、葉が大きく、古来、飯を包むのに用いられてきたので「包の木」に由来するという説もある。