フウトウカズラ(コショウ科)
Piper kadzura (Commelinaceae)

海岸近くの低地林や石灰岩地域に多く生える常緑藤本。茎の節から根を出し、木や岩などにまとわりつくように伸び、高さ数メートルになる。葉は互生し、卵形~狭卵形、全縁で先は尖る。花期4月~5月、葉と対になって3~8センチの穂状花序を出し、小さな黄色の花を密につける。液果は直径3~4ミリの球形で赤熟する。名の由来は風藤蔓ふうとうかずらであるが、本草綱目の蔓草にに南蕗の条があり、李時珍は風藤フウトウの異名を挙げている。貝原益軒は「ふうとう」の和訓をつけたが、これがわが国の文献における和名の名目上の初見である。ただし、それが今日いうフウトウカズラであるか必ずしも明確ではない。中国で風藤にフウトウカズラを充てたのは1841年の本草再新であり、海風藤カイフウトウの別名とした。台湾で古くからフウトウカズラを風藤と称したといわれ、結局、それが和名の基になったらしい。各種のネオリグナンが報告され、中国産フウトウカズラから得られたカズレノンは天然物では珍しいPAFアンタゴニスト作用がある。

futokazura

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