ウルシ科の植物とりわけウルシ(Toxicodendron)属(ウルシ、ツタウルシ、ハゼノキなど)に多く含まれるアルキルフェノール誘導体で、15あるいは17個の炭素からなるアルキル鎖がカテコールに結合した構造をとる。アルキル鎖は飽和と不飽和の両方があり、天然には混合物として存在し、いわゆるウルシオールはその総称である。アレルゲン性物質として知られ、触れると皮膚に発疹を生じ、飽和より不飽和のウルシオールの方が強くかぶれる。沸点が摂氏200〜210度の淡黄色の粘稠な液体で、アルコールとエーテルに溶けるが、水にはほとんど溶けない。高湿度下で空気中の酸素に触れると酸化されて重合し固化するので、古くから漆工芸に用いられてきた。北海道函館市の縄文遺跡から9000年前の世界最古の漆器が出土している。