ハブソウ(マメ科)
Senna occidentalis (Fabaceae)

habusou

→戻る(2004.7.16;帝京大学薬用植物園)

熱帯、亜熱帯アメリカ原産の1年草。茎は直立して高さ120cmほどまで成長し全草無毛である。葉は4〜6対の小葉から構成される奇数羽状複葉で、小葉の葉柄はごく短く、葉身は長楕円〜広披針形で、先は鋭頭である。和名は、江戸時代に葉が虫や蛇の毒を緩和する効果があると信じられたことに由来し、『物品ぶっぴん識名しきめい(1809年)に「ハブサウ 望江南」とあるのが文献上の初見である。因みに、“ハブ”は『本草ほんぞう和名わみょう』に「蝮虵フクダ 和名波美はみ」とある“はみ”が訛ったもので、いわゆる“へび”の総称であって、沖縄・奄美に生息する毒蛇のハブに限定した名ではない。夏に茎の先の葉腋から総状花序を出して5枚の不揃いな花弁をもつ黄色い花を数個つける。熟すと莢果きょうかとなり水平~上向きにつき、種子は近縁種のエビスグサとは違って扁平で光沢がない。種子を望江南ボウコウナンと称し、食傷、腹痛に用いるが、出典は『救荒きゅうこう本草ほんぞう(1406年成立)であり、大航海時代に欧州人から伝えられた。ハブ茶は本来はエビスグサの種子を用いるが、本種の種子を用いることがある。種小名はラテン語で“西”という意で、occidentemすなわち欧州から見て西方の地域を指し、俗にいう西洋ではないことに留意。
引用文献:References参照。
引用文献:References参照。