ショクヨウダイオウ(タデ科)
Rheum rhaponticum (Polygonaceae)

shokuyoudaiou

→戻る(2007.4.21;帝京大学薬用植物園)

【解説】 欧州の一部地方原産の高さ150cmになる大型多年草で、ギリシア・ローマ時代には栽培されていた。葉は大きく、切れ込みはないが縁は大きく波うち、葉柄は多肉質で太く、葉身は長さ50cmにもなり、幅は長さより広くなる。葉の基部は心形で、顕著な葉脈が5つある。葉柄は上が凹状、下は凸状、10個ほどの突起がある。花期4~5月、花は円錐状花序を構成し、小さな淡黄緑色の花を密につける。果実は膜状のよくがある。本種は生薬大黄ダイオウの同属種であるが、薬用には適さないものの、太い葉柄に酸味があって食感も優れるので、欧州では古くから“rhubarbルバーブ”と呼んで食用とし、わが国でも徐々に普及しつつある。その語源は古代ギリシア語の“ρά” (ra)と“βάρβαρον” (barbarum)からなる複合語に由来する。“ρά” (ra)の別名を“ῥῆον” (rhêon)といい、ラテン語ではrhaに転じて属名Rheumの由来となった。barbarumはBarbaryすなわちローマ帝国のうち異民族の住む地域を指す。因みに、種小名の由来はローマ名の“rha ponticum”であり、ponticumは“Pontic”、古代ギリシア語では“Πόντος” (Póntos)といい、いずれも黒海The Black Seaを指す。本種の野生品の現自生地が黒海沿岸のブルガリア西南であることとも一致する。別名の“ῥῆον” (rhêon)とローマ名は後述の『薬物誌』に見え、RA(附図)とあるのが本種に該当し、収斂作用があって体を温めるほか、胃の衰弱、鼓腸、けいれん、脾臓や肝臓の病気、腎炎、膀胱不全、胸部のつかえ感、心気症関連の症状に効果があるという。ほかに子宮疾患、坐骨神経痛、吐血、喘息、くる病、赤痢、発熱などにもよいとある。成分としてラポンティシン(rhaponticin)が含まれ、薬用ダイオウと区別する標識化合物とする。和名は食用大黄、別名をマルバダイオウともいう。カラダイオウと区別しない見解(Ylist)も根強いが、ここではKew Plants of the World Onlineにしたがう。
引用文献:References参照。