中国から渡来し鹿児島県で改良された柑橘で関東南部以南の暖地に栽培される常緑小高木であるが、C. reticulataに含める見解もある。花期は初夏。液果は10月から初冬にかけて成熟する。神農本草経上品に収載された橘柚一名橘皮は本種の果皮であり、未熟果皮を青橘皮、成熟果皮を生薬陳橘皮と区別(それぞれ略称して青皮、陳皮という)し、いずれも芳香健胃薬とする。健胃、鎮咳、去痰、鎮嘔を目的として温胆湯、藿香正気散、清肺湯、平胃散、補中益気湯などの漢方処方に配合される。精油に富み主成分はリモネン (l-limonene)である。(→関連ページ1;関連ページ2)他にフラボノイドとしてヘスペリディン (hesperidin)、ナリンギン (naringin)、フェネチルアミンとしてシネフリン (synephrine)を多く含む。