クァシア(ニガキ科)
Quassia amara (Simaroubaceae)

新大陸に原産し、熱帯雨林の下層を構成する常緑低木。葉は3〜5枚の小葉からなる羽状複葉で互生し、各小葉は脈が鮮明で光沢があり、赤みを帯びた葉柄には広い翼がつく。複総状花序(円錐花序)を為し、真紅の花は5弁の披針形の花冠からなるが、通例、開くことはなく先が窄まって筒状を保持する。落花しやすいので結実するのは少なく、花軸に1cm前後の紫褐色の核果をまばらにつける。種小名のamaraはラテン語で“苦い”という意味で、欧州で心材をクァシアボクと称して苦味健胃薬としているのを導入して初版〜第三改正日本薬局方に収載された。同じニガキ科のPicrasma excelsaも別属種ながらクァシア木の基原とされ、生薬市場ではスリナムクァシア木と称された。これに対して本種をジャマイカクァシア木と呼んで区別することがある。どちらも強い残留性の苦味をもつ変形トリテルペンのクァシンほか類縁体(クァシノイド)を含み、食欲増進、強壮、利尿、解熱、駆虫、抗白血病などの効果が報告されている。第三改正薬局方では日本産のニガキPicrasma quassioidesが基原に加えられ、第四改正局方ではクァシア木は削除、以降、苦木ニガキとして今日に至る(苦木は和製漢名であるから音読みすべきではない)。すなわちニガキは日本産クァシア木という位置付けで日本薬局方に収載されたことになる。

quassia

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