ニガキ(ニガキ科)
Picrasma quassioides (Simaroubaceae)

本邦各地の山野に生える落葉高木。葉は奇数羽状複葉で互生し、小葉は広披針形で先は尖り、縁に浅い鋸歯がある。雌雄異株で下の写真は雄株、雄花序を示す。花期4~5月。樹皮は褐色で滑らか。材を生薬苦木ニガキと称し、苦味健胃薬として胃腸薬の原料とする。クァシン(quassin)などの苦味変形トリテルペンを含み、残留性の苦味があり、名の由来(苦木)もここにある。生薬ニガキは第三改正日本薬局方ではクァシアボクの基原種の一つとして収載され、第四改正版ではクァシア木は削除、ニガキの条項が加えられ、現行局方も踏襲する。すなわちニガキはクァシア木の代用として選抜された和産生薬ということになる。因みに漢籍でニガキに該当するのは救荒本草の黄楝樹オウレンジュであるが、実は鎌倉時代の医書頓医抄(梶原性善)に「ニガ木」「苦木」を配合した処方が散見される。ただし、頓医抄の「にがき」が今日いうニガキであるかは少々微妙である。というのは単に苦味のある木という意味なら該当する植物種はほかにもあるからだ。(→関連ページ

nigaki

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