次の番号を順にクリックしてください。
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 右上のプロトン系でどのようなシグナルになるか考えてみましょう。C1に等価な3つのプロトン(H1、H2、H3と区別します)があり、Hxはその各プロトンと個別にスピン-スピン相互作用を起こします。その過程を順を追って説明します。ナレーション番号1をクリックしてください。
 まずHxとH1のスピン-スピン相互作用を考えて見ましょう。ナレーション番号2をクリックしてください。
 不等価なプロトン一組の場合はそれぞれシグナルは2本ずつ分裂し、その分裂幅(スピン結合定数)は同じです。このようなシグナル系をAX系といいます。ナレーション番号3をクリックしてください。
 次にHxとH2のスピン-スピン相互作用を考えて見ましょう。ナレーション番号4をクリックしてください。
 H2とのスピン-スピン相互作用により、1、2のピーク(H1との相互作用で分裂したものです)がそれぞれ2本ずつ同じ幅で分裂します。図では1、2の色を変えて区別してあります。H1との分裂の時と同じ幅ですからH4とH5は重なりますが、上下にずらしてあります。ナレーション番号5をクリックしてください。
 次にHxとH3のスピン-スピン相互作用を考えて見ましょう。ナレーション番号6をクリックしてください。
 H1、H2とのスピン結合で分裂したピーク3、4、5、6がH3とのスピン結合で更に分裂し7~14となります。実際のNMRスペクトルで観測されるHxのプロトンシグナルは7~14を加算したものです。ナレーション番号7をクリックしてください。
 これまでのプロセスで得られた分裂ピーク7~14を加算するとこのような4重線となります。4本の各ピークの強度比は1:3:3:1になりますが、なぜそうなるかは説明の必要はありませんね。ナレーション番号8をクリックしてください。
 メチル基の3つの水素H1、H2、H3は等価ですから、化学シフトおよびHxとのスピン結合によるスピン結合定数は全く同じです。したがって、メチル基のシグナルはH1、H2、H3の分裂ピークを加算しても2重線のままです(但し、積分値は3H分です)。ナレーション番号9をクリックしてください。