奄美大島以南の南西諸島各島の石灰岩地帯に生え、国外では台湾、中国南部に分布する常緑小高木。葉は奇数羽状複葉で、5~9片の小葉が互生する。小葉は倒卵形~倒披針形で長さは3~4cm以下、葉先は鈍頭、時に鋭頭となる。花期は3月~10月、八重山諸島ではほぼ周年。枝先や葉腋から集散花序を出し、花径2センチほどの白い5弁花をつけ、芳香がある。果実は球形~楕円形で、熟すと赤くなり、頂端部はわずかに尖る。中に種子が1~3、4個あり、長めの伏毛が密生する。漢名は「漳州府志」(1573年)に初見する月橘であり、和名はその音読みに由来し、沖縄では“ぎきち”に訛る。今日の中国では「嶺南採薬録」(1932年)にある九里香の名を用い、葉、根を薬用とし様々な疾患に用いる。近縁種にナガミゲッキツM. paniculataやツォリンガーゲッキツM. paniculata var. zollingeriなどがあり、アジア各地で様々に用いられる。[YAKUGAKU ZASSHI 134:(12) 1265-1286 (2014)]