化合物和名:ベタニン (Betanin)
骨 格 名: 
生合成経路:アミノ酸

 ヒユ科ビートBeta vulgarisから得られ、ナデシコ目の植物においては広くアントシアニンの代用的存在となっているベタシアニン(Betacyanin)系の水溶性赤色色素の1種。同じヒユ科のケイトウヒモゲイトウの花に含まれる色素も本物質である。グルコースが結合した配糖体であり、アグリコンをベタニジン(Betanidin)という。2分子のチロシン(Tyrocin)から、脱炭酸を伴わずに生合成されるので、いわゆるアルカロイドとは区別すべき二次代謝産物である(→アルカロイドについてを参照)。アントシアニンと同じ赤色の色素であるが、アントシアニンとは異なりpHによる色調の変化はほとんどないが、鉄、銅などの金属イオンの存在下で変色する。熱には弱く、80℃、30分間の加熱でほぼ分解して退色する。高用量でも目立った毒性が認められず、アレルギーも起きないので、食用色素として広く用いられる。

betanin