ツヅラフジ科アナミルタ(Anamirta cocculus)の種子に含まれる猛毒成分で、ピクロトキサン系セスキテルペン骨格を有する。この骨格はカナディンから派生すると考えられている(→イソプレノイドの生合成1を参照)。天然にはピクロニン(Picronin)と1:1の分子化合物を形成し、これをピクロトキシン(Picrotoxin)と称することがある。中枢神経興奮、痙攣作用を伴う中毒を起こし、死に至る。γ-aminobutylic acid (GABA)受容体に対してアンタゴニスト作用があるので神経薬理学の試薬として重要である。類似化合物にドクウツギ(Coriaria japonica)の有毒成分であるコリアミルチン(Coriamirtin)、ツチン(Tutin)などがある。