生薬(医薬品)と食品はどう区別するか?
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 近年、健康志向の高まりとともに健康食品という名のもとで販売される商品が急増しつつある。いずれも摂取によって健康が改善されるとして消費されるのであるが、意外なことにいわゆる「健康食品」には法令上の明確な定義はなされていない。平成13年度から「保健機能食品」が設けられ、これが法令上で定義された健康食品である。しかしながら、依然として健康食品と称して販売されるものも多いことは事実である。今日、保健機能食品以外の「健康食品」として販売される(あるいは販売が許される)ものは次の範疇のものと考えられる。

 特定の疾病に効果があると標榜して販売すると取り締まりの対象になるが、それは「医薬品」と解釈されるからである。では行政当局は医薬品をどのように定義しているのだろうか?医薬品とは病気の予防や治療を目的として服用するもので、名称、成分、分量、用法用量、効能効果、副作用について、品質,有効性及び安全性に関して十分な調査を経ており、最終的には厚生労働大臣の認可を受けて販売が許可されるものである。実際の医療現場では認可を受けていないものでも治療薬として使われることがあるが、それは患者に対する十分なインフォームドコンセントに基づくものであり、患者あるいは親族の同意がないと使用できない。薬事法第2条では次の範疇に属するものを医薬品と定義している。

  1. 日本薬局方に収載されるもの
  2. 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ。)でないもの(医薬部外品を除く。)
  3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)

 一方、日本薬局方には植物や動物などの天然の素材からなる医薬品(生薬)も多く収載される。その中には食品としても用いられるものもある(→こちらを参照)。例えば、ショウガはごく普通に食品として用いられる(スーパーなどで売られている)が、乾燥したものは生薬ショウキョウとして日本薬局方に収載されており、列記とした医薬品でもある。こうした状況では、本質的に医薬品であるべきものも食品のカテゴリー(とりわけ“健康食品”として)で販売される可能性があるので、行政上医薬品の範囲に関する基準を設けておく必要がある。平成13年4月1日より、「医薬品の範囲に関する判定基準」が改定され、それまでの「46通知」と俗称された判定基準より規制が緩和された形になっている。例えば、「46通知」では形状により、例えば錠剤やカプセルであれば中身の如何を問わず「医薬品」としたが、新基準では「食品である旨を表記」すればよいことになった。これは、近年、外国産のいわゆるサプリメント(栄養補助食品)が多く輸入されるようになって原産国の事情を考慮したためである。しかしながら、「専ら医薬品として用いられるもの(天然素材)」の解釈については随時検討することとしている。医薬品の範囲に対する判定基準の全文とそれをフローチャート式に表示したものは次を参照のこと。

「無許可無認可医薬品の指導取締りについて」厚生省薬務局から都道府県知事宛
昭和46年6月1日 薬発台476号通知
医薬品の範囲に対する判定基準(41KB)
同フローチャート(22KB)
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