北海道および新潟県以北の本州日本海側の山地林内のやや湿り気のあるところに生える。花期は8~9月。葉は3~7裂し、裂片の縁に鋸歯~重鋸歯がある。名は陸奥地方に多いことに由来する。トリカブト類の中でもとりわけ毒性が強いことで知られる。本草ではトリカブト基原生薬を微妙な採集時期と部位の違いで区別する。トリカブト類は母根から短い柄を伸ばして子根を出すので、旧暦の秋に母根についた子根を附子、子根がつく前の母根を烏頭といい旧暦の春に採集する。附子の傍に生じる根を側子といい、附子がさらに成長して旧暦の秋の盛り〜終わりに採集するものを天雄という。そのほか烏喙・射罔を区別するが、烏喙はカラスの嘴の義でクチバシ状に成長したもの、射罔 は茎葉を搗いて汁を採って乾燥した狩猟用に用いる毒のことである。漢方で用いるのはほとんどが附子、まれに烏頭を用い、鎮痛、強壮、新陳代謝機能亢進などの目的で八味地黄丸、真武湯、四逆湯などに配合される。日本薬局方ブシはハナトリカブトとともに本種を基原とする。毒成分はアコニチン(aconitine)。(→関連ページ)