ヒレハリソウ(ムラサキ科)
Symphytum officinale (Boraginaceae)

hireharisou

→戻る(2004.5.19;帝京大学薬用植物園)

【解説】 欧州原産の高さ50〜90cmに達する多年草で、全草に白い粗毛が生える。茎に和名の“ヒレ”の由来となるよくが張りだす。葉は卵形状披針形で互生して先が尖り、下部の葉は大きく葉柄があるが、上部の葉は葉柄は目立たず、基部が茎に沿ってよく状となる。花期6~8月、枝の先に集散花序を形成し、花柄は短く、淡青〜淡紅色の釣り鐘形で先が5裂した筒状花が下向きに群れて垂れる。葉がジギタリスと似ているので、誤食で中毒を起こすことがある(→要注意植物:ジギタリスとヒレハリソウ。別名Comfreyコンフリーと称し、葉を食用とする。しかし、アリルオキシエステル構造をもつピロリチジンアルカロイド(キク科ノボロギクに多く含まれる)エチミジンが含まれることをもって、厚生労働省は長期摂取によって肝障害の可能性があるとして、ヒレハリソウを食材とする食品の販売を禁止している。『薬物誌』のSUMPHUTON ALLOに考定され、細かく砕いて飲むと、吐血やヘルニアに効き、外用すると傷がふさがり、陰部の炎症や、茹でると肉片がつなぎ合わされるとある。SUMPHUTON (“σύμφυτον”)は古代ギリシア語の“σύμφῠσῐς” (súmphusis;“growing together”の意という)、ALLOは「他の」「異なる」という意の“ἄλλος” (állos)であるが、『薬物誌』では類名の品目SUMPHUTON PETRAIONがあるので、「それとは非なるもの」と区別してつけられた。PETRAIONは「石、岩」を意味する“πέτρα” (pétra)に「動く、動いている」という意味の“ῖων” (iōn)が付いた複合語である。すなわちSUMPHUTON PETRAIONは石や岩がごろごろしている環境で育つ植物であり、ディオスコリデスはthymeタチジャコウソウに似たものと記述しており、通説はヒレハリソウとは類縁関係のないサクラソウ科Coris monspeliensis (Brush montpellier)を充てる。属名は『薬物誌』のSUMPHUTONに由来するが、前述の字義「一緒に成長する」は古い時代の薬用に関係しているのかもしれない。種小名はラテン語で“薬用にする”という意で、英語の“officinal (official)”に相当する。
引用文献:References参照。