ニラ(ヒガンバナ科)
Allium tuberosum (Amaryllidaceae)

nira

→戻る(2004.8.26;帝京大学薬用植物園)

【解説】 中国あるいはインド原産の多年草で、現在は野菜として栽培される。地下部にある小さな鱗茎から濃緑色で扁平な線形の葉を出す。花期8~9月、葉の間から長い花茎を出し、その先に半球形の散形花序をつけ、それぞれ3枚ずつの花弁とほうからなる白い花(6弁の花に見える)を密に咲かせる。葉を食用とするほか、種子を韮子キュウシ(『名醫めいい別錄べつろく』中品)と呼び、遺精などに強壮薬として用いる。葉を韮白キュウハクと称し、消化器の衰弱、出血などに用いる。辛味と刺激性はネギ(Allium)属に広く含まれるアリインが酵素分解されて生成するアリシンに基づく。和名は古名の「みら」(万葉集・『和名抄わみょうしょう』・『本草ほんぞう和名わみょう』)の訛り。同属類縁種にラッキョウがあり、ニラの韮に対してカイで表す。属名はニンニクの意であるラテン語の“allium”に由来し、同じくラテン語の「wing」を意味する “āla”に関連するかもしれない。種小名はラテン語で塊茎を意味し、本種が鱗茎を形成することを表す。
引用文献:References参照。